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店舗デザインにおけるタイルの活用法:デザインと機能性を両立した空間づくり

  • Tile Capsule
  • 6月27日
  • 読了時間: 12分
タイルを使ったブティック店舗イメージ
タイルを使ったブティック店舗

店舗の設計・デザインにおいて、タイルは空間の美観と機能性を左右する重要な要素です。適切なタイルを選ぶことで、ゲストにとって快適で魅力的な空間を提供し、店舗のブランドイメージを高める効果があります。実際、耐久性や清掃のしやすさを考慮すると、タイルは機能性とデザイン性を兼ね備えた最良の選択肢と言えるでしょう。本記事では、設計士や空間デザイナーの方々を主な対象に、店舗デザインにタイルを取り入れるメリットと、デザイン性あふれる空間を実現するための活用アイデアをご紹介します。素材選定のポイントから最新トレンドまで、タイルの可能性を幅広く解説していきます。



タイルが店舗デザインにもたらすメリット

まず、なぜ店舗空間にタイルが選ばれるのか、そのメリット(利点)を整理します。タイルは見た目の美しさだけでなく、商業空間に適した高い機能性を備えており、長期的に見ても空間価値を支える頼もしい素材です。以下ではデザイン性・耐久性・メンテナンス性・安全性といった観点から、タイルの利点を詳しく見ていきます。



デザイン性とブランディング

タイルの最大の魅力の一つは、そのデザインバリエーションの豊富さにあります。陶磁器製のタイルだけでなく、ガラス製やセメント製のものまで、質感や色柄のバリエーションが極めて多彩です。そのため、店舗ごとのブランドコンセプトに合った空間演出が可能です。

メタリックタイルを使ったカウンター事例
メタリックタイルを使ったカウンター事例

例えば:


・大理石調タイルを用いれば、高級感あふれるラグジュアリーで洗練された印象を与えることができます。

・木目調タイルなら、木の温もりを感じさせるナチュラルで落ち着いた雰囲気を演出できます。

・石目調やコンクリート調タイルは、都会的でモダンなイメージづくりに最適です。

・モザイクタイルやメタリックタイルをアクセントに使えば、個性的で未来的な空間の演出も可能です。

・大判の大理石調タイルを店舗の床と壁に用いることで、ハイブランドのブティックのような洗練された空間を演出している例。タイルならではの質感と模様が、店舗全体の高級感を高めている。



このように、タイルは素材そのものが持つデザインと、タイルの張り方(パターン張り)によって空間の印象を大きく左右できます。色や模様でブランドカラーを表現したり、店舗の世界観を効果的に訴求できます。例えばブランドロゴの色に合わせたタイルを壁面に配して統一感を出す、カウンター正面にアート的なモザイクタイルを施してSNS映えするスポットにする、といった演出も可能です。デザイン性に優れたタイルを巧みに用いることは、そのままブランディング効果につながり、来店客の記憶に残る印象的な店舗づくりに貢献します。



高い耐久性と長期的な美観維持

商業空間では不特定多数の人々が訪れ、什器(じゅうき:店舗の家具や設備)の移動や商品の積み下ろしも頻繁に行われます。そのため、内装材には耐久性が強く求められます。タイルは硬質で摩耗に強く、フローリングやカーペットに比べて長期間にわたり美しさを維持できる素材です。



  • 摩耗しにくい: 人通りが多くても表面の劣化が起こりにくく、へたりにくい。飲食店や物販店など、毎日多くの人が歩く床材として適しています。

  • 傷やへこみに強い: ハイヒールによる点荷重や、重い什器・設備の設置による圧力でも凹みや傷が付きにくいです。アパレルショップで什器を頻繁にレイアウト変更する場合や、美容室で重い理美容機器を置く場合でも安心です。

  • 色あせしにくい: 直射日光や紫外線による変色・退色が起こりにくく、開放的な大きな窓がある店舗でも経年で色の美しさを保ちやすい素材です。天然石のように経年変化でムラが出る心配も少なく、常にデザイン当初の鮮やかさを維持できます。



さらにタイル(特に磁器質のセラミックタイル)は耐水性・耐熱性にも優れており、過酷な環境下でも性能を発揮します。水が染み込みにくいので湿気による腐食やカビの発生を防ぎ、キッチンやカフェの床でも安心して使えます。また耐熱性能が高いため、タバコの火種や調理器具が一瞬触れても表面が焦げたり引火したりしにくい利点もあります。これらの特性から、タイルは長期的な投資効果が高い内装材と言えます。多少初期費用がかかっても、頻繁な張り替えや補修の手間が少なく、美観と性能を長く維持できるため、トータルで見ればコストパフォーマンスに優れる素材です。


水滴がのっているタイル

清掃性の高さと衛生的な環境維持

店舗運営において、清潔感の維持は非常に重要です。床にホコリが溜まっていたり汚れが染み付いていたりすると、せっかくのデザイン空間の魅力も半減してしまいます。その点、タイルはメンテナンスが容易で常に衛生的な環境を保ちやすい素材です。



  • 汚れが染み込みにくい: タイル表面は緻密で水分・油分をほとんど吸収しないため、飲み物をこぼしてもシミになりにくいです。カフェやレストランの床でも、染み込んで取れない汚れが残りにくいので衛生的です。


  • 掃除が簡単: ホコリや泥汚れも表面をサッと拭き取るだけで綺麗になります。掃除機やモップ掛けもスムーズで、カーペットのように繊維にゴミが絡まることもありません。短時間で清掃できるため、閉店後のメンテナンス負担も軽減します。


  • カビやニオイの発生防止: 木材やカーペットと比べて湿気に強いため、カビ・雑菌の繁殖を抑えられます。汗や食品臭が染み付く心配も少なく、常にクリーンな空気感を保てます。



加えて、最近のタイル製品には抗菌・抗ウイルス仕様のものも登場しており、不特定多数が利用する商業空間の衛生管理に一役買っています。例えばSant'Agostinoが提供する抗菌タイルや、光触媒コーティングされたタイルは、表面の細菌増殖を抑制する効果があります。このようなハイテク機能を持つタイルを選べば、飲食店の厨房やトイレ空間などでも衛生度を高く維持でき、来店客にも従業員にも安心な環境づくりにつながります。



安全性と快適性への配慮

タイルは硬質で丈夫な反面、その硬さゆえにいくつか注意すべき点もあります。適切な製品選定と設計上の配慮によって安全で快適な空間を実現できます。


  • 滑り止め性能: 光沢のあるタイルは水に濡れると滑りやすくなる場合があります。エントランスやキッチンなど、水に濡れる可能性の高い場所ではノンスリップ(防滑)仕上げのタイルや、表面に適度な凹凸があるタイルを選ぶと安全です。最近では見た目の質感を損なわずに高い防滑性能を持つタイルも増えています。


以上のように、タイルのメリットを活かしつつデメリットを補う工夫をすることで、安全で快適、かつ美しい店舗空間を実現できます。設計段階で用途に適したタイル製品を選び、必要に応じて他素材と組み合わせることで、タイルは商業空間において最強のデザインパートナーとなるでしょう。



タイルを活用した空間演出アイデア


タイルの持つポテンシャルを最大限に引き出すには、素材選びだけでなく使い方のアイデアも重要です。ここでは、店舗空間でタイルを効果的に活用するためのデザインアイデアをいくつかご紹介します。空間デザイナーの視点から、タイルならではの表現力を活かした演出のヒントを探ってみましょう。


高級感を演出する大判・大理石調タイル

高級感を演出する大判・大理石調タイル

ラグジュアリーな雰囲気を求めるブティックやホテルライクなカフェには、大判サイズの大理石調タイルがおすすめです。大理石の風合いを再現したタイルは、空間に圧倒的な高級感と重厚感を与えてくれます。特に 600 mm 角以上の大判タイルを床一面や壁面に用いると、目地が少なくなる分だけ広がりが生まれ、まるで本物の石張りのような贅沢な印象になります。


鮮やかなグリーンの大理石調タイルをアクセントに取り入れた店舗空間の例
鮮やかなグリーンの大理石調タイルをアクセントに取り入れた店舗空間の例

壁面に大胆な色彩のタイルを使うことで、高級感とともにブランドの個性を際立たせている。


大理石調タイルは模様が一枚一枚異なるため、組み合わせ方次第で表情豊かな床・壁デザインが可能です。たとえば黒や濃紺の大理石タイルで床をまとめれば、照明を反射して煌めくドラマティックな空間になります。一方、白系の大理石タイルを使えば、明るく清潔感のある空間に仕上がります。高級感を演出したいアパレルショップやホテルロビーだけでなく、最近では美容クリニックや高級車ショールームでも大理石調タイルの採用が増えています。耐久性がありつつ高級素材の雰囲気を演出できる点で、タイルはこうした業種にもマッチしているのです。


温かみや自然味を出す木目調タイル

レストラン床の木目タイル

木目調タイルは、木の持つ自然な温かみとタイルの耐久性を両立できる優れものです。カフェや雑貨店、ライフスタイルショップなどリラックスできる空間演出をしたい店舗に適しています。木材そのものは水や傷に弱いですが、木目調タイルなら水濡れや傷を気にせず木の風合いを楽しめます。例えば飲食店の床を板張り風のタイルで仕上げれば、ナチュラルな雰囲気と衛生面の両立が可能です。またヘリンボーン張りやデザイン張り(市松張りなど)にすることで、より一層デザイン性を高めることもできます。


テラゾー風(豆砂利模様)タイル

同様に、天然石材調やテラゾー風(豆砂利模様)タイルも人気です。



海沿いのリゾートに映えるテラコッタタイル
海沿いのリゾートに映えるテラコッタタイル

例えばイタリア風バルの床に素焼き風のテラコッタ調タイルを敷けば、温もりがありつつも本場の空気感を醸し出せます。

石材調タイルは実物の石に比べて軽量で施工しやすく、色ブレも少ないため、仕上がりのイメージ通りに空間を作りやすいという利点もあります。



アクセントウォールやサインへのタイル活用


タイルは一点使いのアクセントとしても強力なツールです。全面に張らなくても、空間の一部に個性的なタイルを用いるだけで印象を一新できます。例えば:


  • アクセントウォール: 店内の一角にモザイクタイルやデザインタイルを張り、フォーカルポイントとする手法です。ソファ席の背面壁だけタイル張りにして他とは違う雰囲気にしたり、レジカウンター背面を幾何学模様タイルで強調したりすれば、空間にメリハリが生まれます。部分的なタイル使いならコストを抑えつつ高い視覚効果を得られます。

    ソファ席背面壁タイル張り

  • タイルアート・サイン: 店名やロゴをモザイクタイルで描くオリジナルサインは、他店と差別化できるデザイン演出です。海外では伝統的にショップの入口床にタイルで店名を組み込む例も見られますが、現代でもレトロモダンな演出として注目されています。タイルメーカーによってはオリジナルデザインのタイル印刷サービスもあるため、ブランドモチーフをあしらったタイルを特注することも可能です。壁面に社名ロゴのタイルアートを飾れば、一種のフォトスポットにもなり得ます。

    アクセントウォールにタイル

このようなアクセント使いでは、小さい面積でもデザイン性の高いタイルを選ぶのがポイントです。色彩豊かなモザイクタイル、光を反射してきらめくガラスタイル、立体形状で陰影を生む3Dタイルなど、インパクト重視でセレクトするとよいでしょう。アクセントタイルの部分照明を工夫すれば、質感や凹凸が一層引き立ち、昼夜で違う表情を見せる空間演出も可能です。



空間のゾーニングと導線づくり


店舗の中には、商品ディスプレイエリア、カフェスペース、通路、ラウンジコーナーなど様々なゾーンが存在することがあります。タイルを使えば、床材や壁材でゾーンを視覚的に分ける(ゾーニング)ことが容易です。たとえば通路部分は濃い色のタイルにして滞留しにくい動線を作り、商品を見せたいエリアは明るいタイルにして足を留めやすくする、といった工夫ができます。また異なる模様・色のタイルを組み合わせてエリアごとにパターンを変えると、お客様にとって分かりやすい導線案内にもなります。


一方で、統一感を保つことも重要です。あまりにタイルの種類を増やしすぎると空間がちぐはぐになるため、基本は同シリーズ内の色違い・サイズ違いタイルでまとめる、もしくはベースはシンプルな無地タイルにして要所だけ柄物タイルを差し込む、といったバランスを意識しましょう。

同じシリーズの

例えば大型ショールームでは、床はすべて同じ石目調タイルで統一しつつ、カウンター周りだけモザイクタイルで円形の模様を入れてポイントとするケースがあります。こうすることで空間全体に統一感を持たせながら、部分的に視線を集めるデザインが可能です。



タイル選定と導入のポイント


最後に、店舗向けにタイルを選ぶ際の実践的なポイントをまとめます。豊富な種類があるタイルだからこそ、目的に合ったベストな一枚を選び抜くことが大切です。


  • 用途別に適したタイルを選ぶ: 壁用・床用・屋外用など、タイルには用途ごとに適した性能があります。床には滑りにくく耐荷重性の高い磁器質タイル、壁には軽量でデザイン性豊かなタイル、といった使い分けをしましょう。特に床タイルは摩擦係数(滑りにくさ)や硬度を確認し、店舗の利用状況に見合ったものを選定します。


  • サイズ・形状の検討: タイルサイズは空間のスケール感に影響します。小さな空間に大判タイルを張ると目地が少なく広く見え、一方広い空間にあえて細かなモザイクを敷き詰めると独特の存在感が出ます。六角形やアラベスク形など形状が凝ったタイルもありますが、施工コストや後の張替えのしやすさも考慮に入れましょう。


  • サンプル取り寄せと現物確認: カタログやウェブ上の写真だけで決めず、必ず実物サンプルで質感や色味を確認しましょう。照明の当たり方で見え方が変わるため、実際の店舗照明計画のもとでチェックできると理想的です。タイルカプセルでは国内外の様々なデザインタイルを取り扱っており、サンプル送付にも対応していますのでお気軽にご利用ください。


  • プロへの相談: タイル選びに迷ったら、タイル専門のメーカーや販売店、デザイン事務所に相談するのが近道です。最新のトレンドや新商品情報、施工上の注意点など、プロならではの視点でアドバイスをもらえます。特にデザイン性の高い空間を目指す場合、豊富な施工事例を持つ専門家の意見は貴重です。




まとめ:タイルで実現する唯一無二の店舗空間


タイルは店舗デザインにおいて、デザイン性と機能性を兼ね備えた頼れる素材です。多彩な表現力でブランドの世界観を体現しつつ、長く美観と衛生を保てるタイルは、まさに商業空間の強い味方と言えるでしょう。設計士や空間デザイナーの方々にとって、タイルをどう活用するかは腕の見せ所であり、大きなインスピレーションの源でもあります。


本記事でご紹介したメリットや活用アイデアを参考に、ぜひタイルの可能性を創造的に追求した店舗デザインに挑戦してみてください。素材選び一つで空間の表情は大きく変わります。洗練されたタイル使いで他にはない唯一無二のショップ空間を実現すれば、きっと来店者の心に残る体験を提供できるはずです。


タイルカプセル(Tile Capsule)では、国内外からセレクトした上質でデザイン性の高いタイルを多数取り揃えております。空間コンセプトに合ったタイル選びや施工に関するご相談、お見積り依頼なども承っておりますので、ぜひお気軽にお問い合わせください。貴社の空間づくりに最適なタイルソリューションをご提案いたします。



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