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MOTHER(マザー)|屋内外を同じ6色でつなぐ木目調タイル——IMOLA CERAMICA

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MOTHER(マザー)|屋内外を同じ6色でつなぐ木目調タイル——IMOLA CERAMICA

2026.08.31 ・ Tile Capsule

窓を開けると、リビングの床がそのまま庭のテラスへ続いている。屋内と屋外で床の色柄が切り替わらないだけで、部屋は実際の広さより外へ伸びて見えます。これを木目調タイルで成立させるのが、イタリア IMOLA CERAMICA(イモラセラミカ)の「MOTHER(マザー)」です。

MOTHER は、屋内床に使える6.5mm厚の20×120cmと、屋外床向けの20mm厚の30×120cmが、同じ6色で揃うシリーズです。屋内と屋外で色名も木目も切り替えずに、床を一続きに設計できます。この記事では、木目調タイルというカテゴリの前提から、メーカーの背景、MOTHERの6色、屋内外をつなぐディテールまでを順に見ていきます。

木目調タイルをヘリンボーンに張った寝室。格子戸の先にプールのある庭が続き、床は屋外まで同じ木目で通している。

木目調タイルを屋外まで通すという発想——本物の木との分かれ目

木目調タイルは、陶磁器の表面に木の表情を与えた床材・壁材です。本物の木と比べたときの分かれ目は、床を屋外まで延ばしたときに現れます。木材のデッキは定期的な塗装や防腐処理が前提になりますが、吸水率の低い磁器質のタイルはその手入れが不要な代わりに、下地・目地・排水の設計をタイル側の条件に合わせる必要があります。

「タイルデッキで後悔した」という声の多くは、この屋外側の条件から生まれます。屋外の床は、下地条件や施工法によっては20mm厚の厚物が必要になります。業界の標準厚は床用15mm・屋外床20mmで、屋内用の薄物をそのまま屋外床に持っていける前提ではありません。ところが木目調タイルには、屋内用サイズしか展開が無いものや、屋外用はあっても別の柄・別の色名になるものが少なくありません。検討が進んだ段階で「同じ木目の屋外用が無い」と分かり、掃き出し窓のところで色柄を切り替える——という結末になりがちです。

だから木目調タイルで屋内から屋外へ床を通したいときに最初に確認するのは、色柄の好みではありません。同じシリーズの中に、厚みの違う2サイズが同じ色名で揃っているかどうかです。MOTHERはこの条件を、6色すべてで満たしているシリーズです。

ナチュラルオーク色の木目調タイル「マザー マルト」を床と壇上に張った寝室。ピンクとグリーンの塗り壁、木の縦格子を合わせている。
木目調タイルの床に木のトレイを置いた寄り。本物の木とタイルの見え方を並べて比べられるカット。

Cooperativa Ceramica d’Imola——150年以上、「つくること」に捧げたブランド

IMOLA は、イタリア・ボローニャ県イモラ市(IT-40026)に本拠を置く Cooperativa Ceramica d’Imola S.C. のブランドです。日本のタイル業界では珍しい協同組合という組織形態で、150年以上にわたってタイルをつくり続けてきました。カタログでは IMOLA を「fare(つくること)に捧げたブランド」と位置づけ、そのアイデンティティを「歴史との結びつきと、絶えず更新し続けたいという願望の均衡から生まれたもの」と自ら定義しています。

ブランドコンセプトは FARE FUTURO(英訳では “BUILDING THE FUTURE is OUR KNOWHOW”)。未来はまだ存在しないもので、アイデアとノウハウが行為になることで日々つくられていく——という考え方が、ブランドの掲げる「つくること(fare)」に重ねられています。標榜する価値として挙げているのは、堅実・現代性・信頼性・誠実・耐久性・歴史性・折衷性の7つ。

組織としては UNI EN ISO 9001(品質)、14001(環境)、45001(労働安全衛生)を取得しています。ロゴマークの蜂は、スタイルガイドで「地域への根ざしと、国際化への開きの結節点」と説明されています。産地に根を張りながら世界に出ていく、という自己像がマークに込められている形です。

イタリアのタイルメーカー、イモラセラミカのロゴ。

MOTHER のデザイン哲学——木の息づかいを写し取る

メーカーは MOTHER を「木の生命の息づかいを繊細な感性で写し取る」シリーズと表現しています。カタログの言葉を借りれば、表面のニュアンスと木目の織り重なりは包み込むようでありながら偽りがなく、6色は着想源となった木材の6つの階調をそのまま示すもの。目指されているのは「デザインによる抱擁」——暮らしの空間と深くつながる自然さです。

この思想が製品仕様としてどう現れているかを、3点に分けて見ます。

素地に色が入っている(彩色通体)。 MOTHER は彩色通体磁器質タイル(color body porcelain)で、白い素地ではなく、素地そのものに色が入っています。効いてくるのは納まり側です。段鼻や見切りのように小口が視界に入る部分、あるいは角が欠けたときに、白い断面が出てきません。役物を多用する屋内外の連続では、ここが仕上がりを左右します。

規格は UNI EN 14411 – G BIa 適合(吸水率0.5%以下)。日本のJISでいえば I類(吸水率3.0%以下・旧称の磁器質にあたる区分)に相当し、本シリーズはその中でもさらに低い水準です。同じ IMOLA CERAMICA の壁タイル「CROMIA」も同じ規格に適合しています(記事末尾の関連リンク)。

吸水率によるタイルの区分図。JISのI類は3.0%以下、II類は10%以下、III類は50%以下。CROMIAとMOTHERが適合するUNI EN 14411 G BIaは0.5%以下で、I類の中でもさらに低い水準にある。

柄数の多さ。 20×120cmは39柄、30×120cmは26柄。6色すべてで共通です。同じ絵柄の板が近い位置に並ぶと、途端に柄の繰り返しが見えてしまいます。柄数はそれを避けるための余裕で、広い面積を張るときほど差が出ます。色幅(シェードバリエーション)はV2=小。木の自然な濃淡は残しつつ、面としてはまとまる範囲に収まります。

木目調タイルを流し張りにした床の寄り。板の継ぎ目と木目の流れが分かるアングル。

レクティファイド。 MOTHER はレクティファイド(焼成後に端部を削って寸法精度を高めた仕様)です。目地を細く通した割付が可能になりますが、目地なしの突きつけは別の話で、寸法誤差や地震時の歪みを逃がせないため一般に非推奨です。加えて木目調の長尺は中央に反りが出るため、割付は馬目地ではなく長辺の1/4程度のずらしが推奨されます。ヘリンボーンにする場合も、この反りを前提に目地幅を決めることになります。

木目調タイルをヘリンボーンに張った床の寄り。1枚ごとに木目が違い、同じ柄の繰り返しに見えにくい。

MOTHER 形状一覧——本体3種と役物3種

MOTHER の形状は、本体3種(矩形2サイズ+モザイク)と役物3種で構成されます。屋内は厚6.5mm、屋外は厚20mmの2本立てです。

200×1200

200×1200

屋内の床・壁。厚6.5mm

300×1200

300×1200

屋外の床。厚20mm・AS仕様

60×1200

60×1200

巾木

1200×325

1200×325

段鼻(屋内)

形状寸法厚み主な用途
矩形(屋内)200×1200mm(20×120cm)6.5mm屋内の床・壁/木目39柄
矩形(屋外)300×1200mm(30×120cm)20mm屋外の床・AS仕様/木目26柄
モザイク300×300mm(シート)6.5mm壁・見切り
巾木60×1200mm6.5mm床と壁の取り合い
段鼻(屋内)1200×325mm6.5mm屋内の段差
段鼻(屋外)300×1200mm・磨きエッジ20mm屋外の段差・AS仕様

品番末尾の AS は「アンチスリップ(ANTISLIP)」の略で、表面を滑りにくく仕上げた屋外向けの仕様を指します。この AS仕様が設定されているのは300×1200mm(厚20mm)のみで、200×1200mmと300×300mmモザイクにはありません。屋外床は300×1200mmのAS仕様で組む、と考えるのが素直な使い分けになります。

滑り抵抗値については、標準仕様とAS仕様のそれぞれで7試験の結果が公表されています。7試験のうち5試験でAS仕様が上の区分になり、B.C.R. と DCOF の2試験は同じ値です。

試験の読み方を簡単に整理しておきます。

  • DIN 51130(R値):靴を履いた状態で傾斜面を歩き、滑り出す角度で判定します。R9〜R13の5段階で、数字が大きいほど滑りにくい
  • DIN 51097(A/B/C):裸足で濡れた傾斜面を歩く試験。浴室やプールサイドを想定した区分で、A→B→Cの順に高くなります
  • B.C.R.:床と靴底のあいだの摩擦係数を測る試験(イタリアの基準 DM 14/6/89 n.236)。乾いた状態と濡れた状態の2条件で測ります
  • Pendulum(振り子式):振り子を床面に滑らせ、失われた勢いの量から滑りにくさを数値化します。英国・豪州・スペインでそれぞれ判定基準が違うため、3つ並んでいます
  • DCOF:Dynamic Coefficient of Friction=動摩擦係数。米国 ANSI A326.3 の方法で、濡れた床を歩くときの摩擦を測ります

いずれも施工前のタイル単体で測った値です。

屋内 20×120cm(厚6.5mm)屋外 30×120cm(厚20mm・AS)
CANAPACANAPA6 SL 2012CANAPA SL3012AS
UNIQUEUNIQUE6 SL 2012UNIQUE SL3012AS
MALTOMALTO6 SL 2012MALTO SL3012AS
MIRRAMIRRA6 SL 2012MIRRA SL3012AS
CUOIOCUOIO6 SL 2012CUOIO SL3012AS
COGNACCOGNAC6 SL 2012COGNAC SL3012AS
木目調タイルの厚物をプールサイドに張った屋外。水際まで木目で通し、デッキチェアを置いている。

MOTHER 全6色——各色の表情と使い方

6色にはいずれも柾目に近い落ち着いた木目が入り、屋内用の20×120cmと屋外用の30×120cm(AS仕様)の両方に品番があります。

CANAPA

CANAPA

カナパ/白木に近いごく淡いベージュ。広い床でも重さが出にくい

UNIQUE

UNIQUE

ユニーク/明るいベージュ。ヘリンボーンなど割付で見せる張り方と相性がよい

MALTO

MALTO

マルト/ナチュラルオークの中間色。国内のフローリング色に近い帯

MIRRA

MIRRA

ミラ/ややくすんだ黄土色。色のある壁と組んでも床が前に出ない

CUOIO

CUOIO

クオイオ/深いブラウン。面を締めたい寝室に効く

COGNAC

COGNAC

コニャック/オーク系のブラウン。CUOIOと明度が近い

色ごとの使い分け。 MALTOは日本の住宅で使われるフローリング色に近い帯にあり、既存の造作や家具と合わせやすいので、屋内から屋外まで通す計画で最初に検討に上がりやすい1色です。CANAPAとUNIQUEの淡色帯は、壁や建具の色を主役にしたいときの下地として機能します。MIRRAは色のある壁タイルや塗り壁と組んだときに床が前に出てきません。CUOIOとCOGNACの濃色帯は面を締めたい寝室で効きますが、この2色は明度が近いので実物サンプルを並べて選び分けることになります。濃色では目地色の選択が見え方を左右しやすいため、目地は早い段階で決めておきたいところです。

なお屋内と屋外で同じ色を使う場合、光の条件が違うため見え方は変わります。サンプルは室内照明の下と屋外の自然光の下、両方で見比べる価値があります。

屋内から屋外へつなぐディテール——段差・役物・下地

段差は役物で受ける

段差を設ける場合、段鼻は屋内用と屋外用で寸法も厚みも違います。屋内は薄物に合わせた1200×325mm・厚6.5mm(品番系列 色6 G120)、屋外は300×1200mm・厚20mmで磨きエッジのAS仕様(色 GR3012AS)。どちらを使うかは、その段差が屋内側か屋外側かで決まります。

巾木(60×1200mm・厚6.5mm・色6 SLBT120)も同じ6色で揃うため、屋内から屋外までの連続を役物で受けられます。屋内の役物は本体の200×1200mmと厚みがそろうので、床と段鼻・巾木を同じ下地レベルで通せます。左右のコーナー部材は受注対応です。

厚物は下地精度をそのまま拾う

20mm厚の厚物は剛性が高い反面、下地の不陸をごまかしてくれません。モルタルや接着剤で湿式に張るのか、砂利や専用架台の上に乾式で置き敷きするのか。どちらを選ぶかで必要な下地精度が変わるため、工法は施工者との詰めが前提になります。

数量が出る屋外床では、搬入経路と仮置き場所を先に押さえておくほうが安全です。

木目調タイルの厚物を張ったテラス。ラタンのチェアと丸テーブルを置き、奥に植栽が続く。

MOTHER でつくる空間——リビング、寝室、水まわり

リビングと屋外の連続。 20×120cmは板幅が広くないため、ヘリンボーンや1/4ずらしの割付で表情を出しやすいサイズです。屋外に30×120cmのAS仕様を続ける場合、屋内側の割付の方向を先に決めてから、境界の目地位置を合わせていく順序になります。

明るいベージュの木目調タイル「マザー ユニーク」をヘリンボーンに張ったリビング。ベージュのソファと大ぶりの観葉植物を合わせている。

寝室。 濃色を床に敷いて面を締める使い方が効きます。壁を彩度の高い色にする場合でも、木目側の彩度が抑えられているため、色同士がぶつかりません。

深いブラウンの木目調タイル「マザー クオイオ」を床に張った寝室。濃い緑のパネル壁とグリーンの寝具を合わせている。

水まわり。 30×30cmモザイクを使うと、壁面や見切りで同じ木目を細かい単位に落とせます。洗面室のように壁の面積が支配的な空間では、木目を壁側に持ち上げる構成も成立します。

ナチュラルオーク色の木目調タイル「マザー マルト」を壁に張った洗面室。黒いサッシの大きな窓と丸鏡、グレーのコンソールを合わせている。

壁で色を決める場合。 メーカーのカタログでは、同社の色タイル「CROMIA(クロミア)」を壁、MOTHER を床として組む提案が載っています。壁で色を決めるなら、床の木目は静かに引くほうがまとまります。

木目調タイル「マザー ミラ」の床に、くすんだ青の壁タイル「クロミア マーレ」を合わせた洗面・浴室。

よくあるご質問

Q. 木目調タイルの欠点は何ですか?

磁器質タイルは木より熱を伝えやすいため、素足では季節によって冷たく感じます。表面が硬い分、落下物の衝撃では欠けることがあり、部分的な張り替えは板を差し替えるだけの床材より手間がかかります。逆に吸水率が低く、水がかりや屋外に強いのが利点です。

Q. 屋外の木目調タイルとウッドデッキ、どちらがいいですか?

判断軸は3つです。定期的な塗装・防腐処理を引き受けられるか、屋内の床とデザインを連続させたいか、足触りの温かさを優先するか。手入れを最小にして屋内の床から屋外まで通したいならタイル。足触りの温かさを優先し、下地に構造を組む余地があるなら木です。

Q. タイルデッキの耐久年数はどのくらいですか?

年数で断言できるものではありません。磁器質タイルは吸水率が低く(JISのI類=3.0%以下、本シリーズはEN規格のBIa群で0.5%以下)、凍害や退色に強い部材ですが、屋外床の寿命を実際に決めるのは下地・目地・排水です。点検すべきはタイルの表面より、目地の切れと水はけの状態になります。

Q. 屋内用と屋外用で、木目は完全に揃いますか?

同じ色名で系統はつながります。ただし板の寸法は20×120cmと30×120cmで違い、屋外側は滑り抵抗値の高いAS仕様(アンチスリップ)です。板幅が変わるため、境界の見え方はサンプルで確認するのが確実です。足裏の触感も、AS仕様では標準仕様と変わります。

Q. ウッドデッキのように虫が寄りませんか?

タイル自体は無機質なので、木を食害する虫の食害対象にはなりません(下地に木材を使う場合は、その部分の話になります)。通気や排水、周囲の植栽の状態によって条件は変わるため、ここは外構計画と合わせて詰める範囲です。

サンプル請求・お問い合わせ

MOTHER の6色・2サイズについては、ご検討中の色とサイズをお知らせいただければ、サンプルのご用意の可否を含めてご案内します。屋外への連続やレベル調整、役物の選定についてのご相談もあわせて承ります。

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