テラコッタ調タイルの最高峰。NATUCER「Argile(アーガイル)」が紡ぐ、地中海の土と光の記憶
- 5 日前
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テラコッタ調タイルは、自然素材への回帰が進むインテリア・建築業界で、今もっとも注目されるマテリアルの一つです。温かみのある土の色彩と質感は、住空間にも商業空間にも唯一無二の雰囲気をもたらします。しかし、従来のテラコッタタイルには「吸水性が高い」「汚れやすい」「屋外で使えない」といった機能面の課題がありました。
その課題を根本から解決し、テラコッタの美しさと磁器質タイルの堅牢性を高次元で融合させたのが、スペインのタイルメーカーNATUCER(ナチュセール)が手がけるArgile(アーガイル)コレクションです。押出成形という伝統製法で仕上げられたこのテラコッタ調タイルは、「焼いた土」の記憶を磁器に刻み込み、屋内外を問わず使える次世代のタイルとして、設計者やインテリアデザイナーから高い評価を集めています。
本記事では、Argileコレクションの魅力を、メーカーの技術的背景から空間提案まで、余すところなくご紹介します。
なぜ今、テラコッタ調タイルが再注目されているのか
自然素材回帰の潮流とテラコッタの復権
2020年以降、在宅時間の増加とともに「自然素材の温もりを感じる空間」への関心が世界的に高まりました。ミラノサローネやCersaie(チェルサイエ)といった国際見本市でも、テラコッタのカラーやテクスチャーを取り入れたタイルの出展が年々増えています。

テラコッタとはイタリア語で「焼いた土(Terra Cotta)」を意味し、何世紀にもわたって地中海沿岸の建築を彩ってきました。その温かみのあるアースカラーは、クラシックからモダン、ナチュラルからインダストリアルまで、幅広いインテリアスタイルと調和します。経年変化による味わいの深まりも、テラコッタが愛され続ける理由の一つです。
「本物」と「調」の決定的な違い——進化したテラコッタ調タイルの実力
本物のテラコッタタイルは素焼きの土で作られるため、独特の風合いと温かみが最大の魅力です。一方で、吸水率が高く汚れやすい、耐凍害性に劣る、シーラー処理が必要といったデメリットも存在します。
テラコッタ調タイルは、磁器質や炻器質の素材を1200℃以上の高温で焼成し、表面加工や印刷技術によってテラコッタの表情を再現したタイルです。本物の風合いを保ちながら、耐久性・耐水性・メンテナンス性が飛躍的に向上しています。
とりわけNatucerのArgileコレクションは、一般的なインクジェットプリントによる再現ではなく、押出成形(Extrusion)という製法を採用しています。粘土を型から押し出して成形するこの技法は、タイル一枚一枚に自然な揺らぎと深みのあるテクスチャーを与え、プリントタイルでは得られない「手仕事の気配」を実現しています。

Natucer——スペインの押出成形タイルを牽引する職人集団
カステリョンから世界へ、1990年代から続く革新

Natucerは、スペイン・カステリョン県オンダ(Onda)に本社を構えるセラミックメーカーです。1990年代、スペインのタイル産業が技術革新の波を迎えた時期に創業し、以来一貫して押出成形磁器(Extruded Porcelain)の分野をリードしてきました。
同社のテーマは「Artisanal Essence × Industrial Scale」。手作業で生まれる自然なムラや風化感を、産業的な品質管理の中に組み込み、「一点もののようなタイル」を量産する独自の技術力が最大の強みです。製品の約70%を輸出し、欧州・中東・アメリカを中心に世界各地で採用されています。
押出成形(Extrusion)が生み出す、唯一無二の質感
タイルの製造方法には大きく分けて「乾式プレス成形」と「押出成形」の2つがあります。現代のタイル市場では乾式プレスが主流ですが、Natucerがこだわる押出成形には、以下のような特徴があります。
押出成形では、水分を含んだ粘土を金型から連続的に押し出し、所定の長さでカットして成形します。この工程により、タイルの断面には細かな空気層が生まれ、表面にはプレス成形では再現できない有機的なテクスチャーが自然に形成されます。
押出成形タイルの強みは、厚み8〜20mmの幅広いバリエーションを実現できること、階段のステップや巾木、プールの縁石といった特殊な形状のパーツを一体成形できること、そして素材そのものが持つ自然な色のゆらぎ(デストニフィケーション)が生まれることです。
Natucerはこの押出技術にデジタル印刷を組み合わせた「Evolution」テクノロジーを開発し、伝統的な製法の味わいと現代的なデザインの自由度を両立させています。
Argileコレクションのデザイン哲学——「焼いた土」の記憶を磁器に刻む
Argileとはフランス語で「粘土」を意味します。その名の通り、このコレクションは土の温もりと質感を最大限に引き出すことをコンセプトに設計されています。押出成形ポーセレン(GRES EXTRUSIONADO PORCELÁNICO)として焼き上げられたArgileは、天然テラコッタの風合いを忠実に再現しながら、磁器質タイルとしての高い性能を備えています。
Palermo、Verona、Ferrara——イタリアの古都が宿る3つのカラー
Argileのベースカラーは、イタリアの歴史ある3都市の名を冠しています。

Argile Palermoは、シチリアの太陽に焼かれた大地を思わせる、もっともオレンジの強い温かなテラコッタカラーです。伝統的なテラコッタの色味を忠実に再現しており、クラシックな空間からカフェ風のインテリアまで幅広く調和します。

Argile Veronaは、中間的なトーンで、ベージュがかった穏やかな土色が特徴です。北イタリアの落ち着いた街並みを彷彿とさせるこのカラーは、ナチュラルモダンやスカンジナビアンスタイルとの相性が抜群です。

Argile Ferraraは、やや深みのあるブラウン系のトーンで、重厚感と品格を空間に与えます。ホテルのロビーや高級レストランなど、格式ある空間づくりに最適なカラーです。
いずれのカラーも「デストニフィケーション(調和のとれた色のゆらぎ)」が施されており、均一ではないナチュラルな表情が、天然素材のような奥行きを生み出しますいずれのカラーも「デストニフィケーション(調和のとれた色のゆらぎ)」が施されており、均一ではないナチュラルな表情が、天然素材のような奥行きを生み出します
マットな風合いが空間に落ち着きをもたらす

Argileの表面仕上げはマット(つや消し)が基本です。テラコッタ調タイルにおいてマット仕上げが持つ意味は大きく、光を柔らかく拡散させることで空間全体に落ち着いた雰囲気をもたらします。直射日光が当たるテラスでもギラつかず、室内のリビングでは照明の反射を抑えて穏やかな空気感を演出します。
屋内から屋外まで——Argileの卓越した対応力
床も壁も、内も外も。多彩なフォーマット展開
テラコッタ調タイルを検討する際に重要なのが、サイズのバリエーションと用途の対応範囲です。Argileコレクションは、以下の4つのフォーマットを展開しています。

45×45cm(17.7"×17.7")——広い面積の床に最適な大判サイズ
22.5×45cm(8.8"×17.7")——レンガのような横長フォーマット
22.5×22.5cm(8.8"×8.8")——正方形でクラシックな印象
18×45cm(7"×17.7")——細長いモジュラーサイズ
これらを自由に組み合わせる「モジュラリティ(Modularity)」がArgileの大きな魅力です。同一カラーの異なるサイズを組み合わせてランダムパターンを描いたり、カラーをミックスしてグラデーションを表現したりと、デザインの幅は無限に広がります。
屋内の床・壁はもちろん、屋外のテラスやアプローチにも対応し、内と外をシームレスにつなぐ空間デザインを実現します。
凍結にも酸にも耐える、磁器質ならではの堅牢性
Argileは磁器質(ポーセレン)タイルであるため、以下の性能を標準で備えています。
耐凍害性があり、寒冷地でも安心して屋外に使用できます。酸やアルカリへの耐性も持ち、キッチンや化学薬品に触れる場所でも劣化しません。メンテナンスフリーで、シーラー処理や定期的なワックスがけは不要です。こうした性能は、吸水率が高くメンテナンスに手間がかかる本物のテラコッタとの決定的な違いです。
アンチスリップ仕様で安全性も確保

屋外使用において見逃せないのが滑り抵抗です。Argileには全カラーでアンチスリップ仕様が用意されており、屋外のアプローチやテラス、プールサイドに至るまで、安全性を確保しながらテラコッタ調の美しい景観をつくることができます。
さらに、階段のステップ(Peldaño Curvo Antislip)、巾木(Zócalo)、框(Zanquín)といった特殊ピースもフルラインナップで揃えており、空間全体をArgileで統一した設計が可能です。これは押出成形メーカーならではの強みであり、プレス成形の大量生産品にはない、きめ細かなソリューション提供力です。
空間を彩るArgileの多彩な表現——デコール&特殊形状
Argileコレクションは、ベースタイルだけにとどまりません。デコールピースや特殊形状が充実しており、空間にアクセントと個性を加えることができます。
Cotto&Forestaのマットデコール

マット仕上げのデコールには、温もりのあるCotto(コット)と深い森を思わせるForesta(フォレスタ)の2色が展開されています。Cross(十字)やArrow(矢印)の形状で、床面にリズミカルなパターンを描くことが可能です。
光沢が織りなす地中海カラー
グロス(光沢)仕上げのデコールでは、Bianco(白)、Verde(緑)、Aquamarina(アクアマリン)、Blu(青)の4色が揃います。
15×15cm、15×45cmのSquare、Strip、Taco、Star、Arrowといった多彩な形状が用意され、テラコッタ調タイルのベースに鮮やかな地中海カラーのアクセントを加えることで、南欧のリゾートのような空間が生まれます。
Star、Cross、Arrow——幾何学パターンで遊ぶ

Argileの特殊形状は、幾何学的なデザインの可能性を大きく広げます。星形(Star)のピースはフロア全体に散りばめてモザイク的な表現ができ、十字形(Cross)はインターロッキングのように組み合わせてダイナミックなパターンを描くことが可能です。矢形(Arrow)やLosanga(菱形)のピースは、方向性のあるデザインを空間に取り入れたい場合に効果的です。
これらのデコールピースをベースタイルと組み合わせることで、テラコッタ調タイルの温かみに、モダンな幾何学デザインの洗練さが加わり、唯一無二の空間が完成します。
テラコッタ調タイルでつくる理想の空間
テラスやアプローチに——屋外空間の演出

Argileのテラコッタ調タイルは、庭のテラスや玄関アプローチで真価を発揮します。アンチスリップ仕様のPalermo、Verona、Ferraraを敷き詰めれば、南欧の邸宅を思わせる温かみのある外構が実現します。耐凍害性を備えているため、日本の寒冷地でも安心して採用できます。
室内の床材と同じArgileを屋外にも使用することで、リビングからテラスへのシームレスなつながりを生み出すことが可能です。窓を開けたときに内と外の床面が自然に連続する設計は、住空間に広がりと開放感をもたらします。
リビング・玄関に——室内に温もりを取り込む

室内では、リビングやダイニング、玄関ホールでの使用が特に人気です。テラコッタ調タイルならではの温かなアースカラーは、木の家具やリネン素材と自然に調和し、心地よい「くつろぎの空間」を演出します。
45×45cmの大判を使えばモダンですっきりとした印象に、22.5×22.5cmの正方形なら伝統的でクラシカルな雰囲気に。フォーマットの選び方ひとつで、同じカラーでもまったく異なる空間の表情を描き出すことができます。
お問い合わせ・サンプル請求
Natucer Argileコレクションのテラコッタ調タイルは、画面越しでは伝えきれない質感と色の奥行きを持っています。押出成形ならではの手触り、マット仕上げの柔らかな光の受け止め方、カラーごとに異なる土の表情——これらは実際にサンプルを手に取っていただくことで、初めて体感できるものです。
Tile Capsuleでは、Argileコレクションのカットサンプルを無料でお届けしています。
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