
『テラゾーの違い』──本物のテラゾーとテラゾー調タイルでは何が違うのか。テラゾーを取り入れたいと思ったとき、まず突き当たるのがこの疑問です。この2つは外見こそ似ていますが、製法・コスト・施工期間・メンテナンス方法が根本的に違います。どちらを選ぶかは目的・予算・空間規模によって変わります。
この記事では5つの軸(コスト・施工・デザイン自由度・耐久性・メンテナンス)で、それぞれの特徴と選び方を整理します。
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テラゾーとは?──素材と製法の基礎
テラゾーはイタリア語で「テラス(露台)」を意味する "terrazzo" に由来します。発祥はイタリア・ヴェネツィアで、数百年にわたり欧州の建築物の床や壁に使われてきた伝統的な左官仕上げ材です。
製法の基本は、セメントまたはレジン(樹脂)をバインダーとして、大理石・花崗岩・ガラスなどの骨材を流し込み、現場で研磨して仕上げるというものです。骨材の種類・粒径・配色を自由に設定できるため、デザインの組み合わせは実質的に無限にあります。完成した面は目地がなく一体化しており、継ぎ目のない広がりが特徴です。
この工法で仕上げたものが「本物のテラゾー(現場で研ぎ出す工法)」であり、現代では同じ骨材模様を磁器質タイルとして工場で焼成・再現した「テラゾー調タイル(磁器質)」が、施工性と品質安定性を高めた代替手段として広く使われています。
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本物のテラゾーの特徴
本物のテラゾーの最大の特徴は、デザインの自由度が非常に高いことです。骨材の種類・大きさ・密度・バインダーの色をゼロから設定できるため、建築プロジェクトの要件に完全に合わせた一点物の床面をつくることができます。継ぎ目のない一体感は、大規模な施設ほど映えます。
一方で、現場施工特有の制約があります。

▲ 本物のテラゾー
2-1. コスト面
専門の左官職人の工賃に材料費が加わるため、施工単価は高くなりやすいです。規模が小さいほど割高になりやすく、数坪程度の住宅では費用が見合わないこともあります。
2-2. 工期面
バインダーを流し込んだ後に養生・研磨・仕上げの工程が必要で、タイル工事と比べて期間が長くなります。現場の段取りと職人の手配が計画全体に影響します。
2-3. メンテナンス面
定期的な再研磨とワックス処理が必要な場合があります。セメント系のテラゾーは吸水性があるため、汚れが染み込む前のこまめな手入れが美観を保つカギになります。
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テラゾー調タイルの特徴
セテラゾー調タイルは、デジタル印刷技術と磁器製造技術の発展によって、テラゾーの骨材模様を磁器質タイルとして精度高く再現したものです。ISO 13006-G(BIa規格)に適合した製品は吸水率0.5%以下で、水まわりや床用途にも使用できる安定した素材です。

▲ テラゾー調タイル
3-1. コスト面
材料費が本物のテラゾーより抑えやすく、施工も一般的なタイル工事と同じ手順で済みます。専門の左官職人は必要なく、タイル施工業者が施工できます。
3-2. 品質の均一性
同じ製品コードのタイルは色・骨材パターン・寸法が安定しているため、追加施工時の色の差異が生じにくいです。現場施工テラゾーでは職人の技量と骨材の配合によって面ごとに差が出る可能性がありますが、磁器質タイルはその心配が少ないです。
3-3. メンテナンス面
磁器質のため吸水がほぼなく、中性洗剤と水拭きが基本の手入れとなります。コーティング剤やワックスは不要で、水まわりでも清掃性が高いです。
ただし、デザインはメーカーが設定したコレクションの中から選ぶ形になるため、骨材の種類・配色・粒径を一から設計することはできません。
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5軸で比較:どちらを選ぶべきか
本物のテラゾーとテラゾー調タイルの違いを5つの軸で整理すると、次のようになります。
比較軸
本物のテラゾー(現場施工)
テラゾー調タイル(磁器質)
コスト
高め(職人工賃+材料費)
抑えやすい(材料費+一般タイル工賃)
施工難易度
高い(専門左官職人が必要)
一般タイル工事と同等
デザイン自由度
非常に高い(完全オーダー設計)
コレクション内での選択
耐久性
高い(研磨で表面を再生できる)
高い(磁器質・表面劣化しにくい)
メンテナンス
定期的な再研磨・ワックス処理が必要な場合あり
中性洗剤と水拭きのみ
2つの選択肢は互いに優劣があるわけではなく、目的・予算・空間によって最適な答えが変わります。
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住宅・商業空間それぞれに向いているのは?

▲ HARMONY SENSA – BLUE

▲ HARMONY SENSA – WHITE

▲ HARMONY SENSA – WHITE

▲ HARMONY SENSA – GREEN

▲ HARMONY SENSA – SAND

▲ HARMONY SENSA – SAND
5-1. 住宅(リビング・玄関・洗面所)にはテラゾー調タイルが現実的
住宅では、工期・予算・メンテナンスの3点が現実的な判断材料になります。本物のテラゾーは専門職人の確保と養生期間が必要で、居住しながらのリフォームには段取りの難しさがあります。材料費と工賃の合計が住宅規模の予算に収まらない場合も少なくありません。
一方、テラゾー調タイルはタイル施工業者による施工が可能で、リビング・玄関・洗面所などのシーンに応じたサイズと仕上げを選ぶだけで、テラゾーの骨材表情を住宅にも取り入れることができます。吸水率0.5%以下(BIa規格)のため水まわりにも施工でき、メンテナンスも手間がかからない。
5-2. 大規模な商業空間(ホテル・美術館・公共施設)には本物のテラゾーが映える
ホテルロビー・美術館の展示室・大型商業施設のエントランスホールのような大規模空間では、本物のテラゾーが持つ「継ぎ目のない一体感」と「設計に完全に合わせたデザイン」が最も活きます。
面積が広いほど一体成形の迫力が際立ちます。専門施工費を見込める規模の案件なら、その広さに見合う選択肢です。骨材の配色やバインダーの色をゼロから設計できるため、建築の意匠計画との整合が取りやすく、施設のアイデンティティを床面に込める手段として評価されています。
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テラゾー調タイルについてさらに詳しく知る
テラゾーと磁器質タイルの比較を解説してきましたが、テラゾー調タイルそのものの基礎知識や素材の歴史を理解したい方は以下のガイドが参考になります。
──素材の起源・製法の変遷・磁器質テラゾータイルとして現在どのように使われているかをまとめた記事。
テラゾー調タイルを実際に床へ導入する際の具体的な選び方については、以下の記事で解説しています。
──リビング・玄関の2シーンを軸に、サイズ・仕上げ・目地の選び方を詳しく解説した記事。
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注目の新作:ARCANA「CROCCANTE」

ARCANA CROCCANTE -MENTA

ARCANA CROCCANTE – TUTTIFRUTTI

ARCANA CROCCANTE – SESAMO

ARCANA CROCCANTE – AVELLANA
スペイン・カステリョン県アルコラを拠点とするARCANA CERÁMICA, S.A.は、1997年の設立以来「The Essence of Ceramics」を掲げ、素材本来の美しさをセラミックで表現してきたブランドです。「ARCANA(アルカナ)」という名は、中世の陶芸職人「Arcanist(アルカニスト)」に由来し、知識と技術の継承を体現しています。Grupo Vives のもと、ヨーロッパの主要見本市に毎年新作を発表し続けています。
「CROCCANTE(クロッカンテ)」は、「サクサクの」「クリスピー」を意味するイタリア菓子から命名されたテラゾー調タイルシリーズです。2022年のCERSAIE(ボローニャ国際セラミックタイル・バスルーム展)でデビューし、食材からインスパイアされた6色のカラーネームが話題を呼びました。BIa / ISO 13006-G規格の施釉磁器質タイルとして、高い耐久性と多彩な石片表現を両立しています。

TUTTI FRUTTI
白地に鮮やかな石片。明るく軽やかな空間に

SÉSAMO
ゴールデンベージュ。温かみある居住空間に

AVELLANA
ヘーゼルナッツブラウン。落ち着いた中間トーン

NUEZ
ウォールナットブラウン。素材感を引き立てるダーク系

ARÁNDANO
グレーブルー系。個性的なアクセントカラーに

MENTA
ミントグリーン。清潔感とリフレッシュ感を演出
項目
仕様
分類
BIa / ISO 13006-G(施釉磁器質タイル)
製造元
ARCANA CERÁMICA, S.A.(スペイン・カステリョン県アルコラ)
サイズ
120×120cm / 80×80cm / 60×120cm / 60×60cm / 20×20cm
厚み
8.8mm〜11mm(サイズにより異なる)
CROCCANTEのサンプルタイルをご希望の方は、以下よりお問い合わせください。実際の色味・質感・石片の表情をご自身の目でお確かめいただけます。
よくある質問
Q1. 本物のテラゾーとテラゾー調タイルのコストはどれくらい違いますか?
現場施工テラゾーは職人の工賃と材料費が加算されるため、磁器質タイルの材料費+一般タイル施工費と比べると高くなる傾向があります。費用の具体的な差は施工規模・使用骨材・職人の手配状況によって変わるため、見積もりを取って比較することを推奨します。
Q2. テラゾー調タイルはDIYで施工できますか?
20×20cmの小サイズや30×30cmのモザイクであれば、下地が適切に整っていればDIY施工の事例はあります。ただし60×120cmなどの大判タイルは重量と下地精度の管理が難しく、プロによる施工が適切です。いずれの場合も施工前に下地の状態を確認することが仕上がりの精度を左右します。
Q3. メンテナンスの手間は大きく違いますか?
現場施工テラゾーは使用するバインダーの種類によって定期的な再研磨やワックス処理が必要な場合があります。テラゾー調タイルは磁器質(吸水率0.5%以下)のため、日常的な手入れは中性洗剤と水拭きのみです。水まわりや清掃の手間を重視する場合は、セラミックの方がメンテナンス負荷を抑えられます。
Q4. 住宅のリビングに本物のテラゾーを使うのは難しいですか?
施工自体は可能ですが、専門職人の確保・養生期間の確保・コストの3点が住宅規模の案件では課題になりやすいです。居住しながらのリフォームや予算に制約がある場合は、テラゾー調タイルで同等の骨材表情を取り入れる方が現実的な選択肢になることが多いです。
Q5. テラゾー調タイルのサンプルはどこから取得できますか?
Tile CapsuleではARCANAのテラゾー調タイル「CROCCANTE」のサンプルを無料でお届けしています。サンプル請求ページからカラーとサイズをご指定のうえお申し込みください。実物の骨材の表情・色・光沢感を手に取って確認できます。
まとめ
本物のテラゾーとテラゾー調タイルの違いは、5軸で整理するとシンプルになります。
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コスト・施工性:セラミックの方が住宅規模・一般工務店での施工がしやすい
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デザイン自由度:完全オーダーもあり得る大規模プロジェクトでは本物のテラゾーがマッチする
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耐久性:どちらも高い耐久性を持ち、方法が異なるが長期使用を前提とした素材だ
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メンテナンス:セラミックは水拭きのみで維持でき、住宅での手間が少ない
目的・予算・空間に応じて最適な選択肢は変わります。どちらかを絶対視せず、自分のプロジェクト条件に照らして判断することが、満足度の高い仕上げ選びの基本になります。